悪逆の檻
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長い長い、沈黙と静寂の後、愛はどうにか3文字だけを絞り出した。










「ちがう」




テーブルを囲んでいた2人は、無数の塊になり、
1つの血だまりを作っていた。



指先がどうしようもなく震える。



最終結果は、
男が11枚
私が7枚
奏が8枚


だった。




の、はずだった。






しかし、あろうことか、

(かなで)が、私のカードを場に戻していた。




つまり、私の手元の枚数は実際とは違っていて、




実際は、

男が10枚
私が12枚
奏が4枚


だったらしい。









そして、最後の1枚をめくった奏と、震える男は、真っ赤にいなくなった。




同じカードを何枚も見たと勘違いしていたのは、実は本当にそうだったらしい。



極限状態の精神状態を、うまく利用したトリック。



友だちながらに、よく思いついたなと感心する。


あの奏が。




そして、最初から私だけを生かそうとしてくれていたことに気付く。


最後まで友だち想いのあの子。



私は、








私は、






そんな奏を裏切ろうとしてしまった。








私は、自分勝手で、冷酷な人間だ。




堪えられない。
















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