音楽バカ
沙穂子は鳥肌が立つのがわかった。
下手で驚いてる衝撃?
いやぁ、…うますぎるでしょ。
口の開け方とかの合唱の基礎は出来てないけど、音程・声質は美音とも引けを取らない。
なんだ、宮路さんって合唱もすごいんじゃん…。
沙穂子だけではなく、美音を除いた周りがぽかんとしている。
歌い終わった。
周りがシンとしている。
なんか変な歌い方しちゃったかな?と首を傾げた。
「ごめん…なんかおかしかった?」
1・2年生は顔を見合わせた。
「先輩、すごいです!!」
「あたし、びっくりしました…!」
「合唱、やってたんですか?!」
1・2年の女子がまくし立てる。希良は動揺して動けない。
「そ、そのぉ……」
「宮路さん…!」
希良の視界から全く外れたところから小柄な少女が目の前に飛び込んできた。
確かこの部の副部長だ。
彼女は希良の手を握ってぶんぶん上下に降った。
「合唱部にようこそぉ!!」
「ひィッ(゚皿゚;)!!」
希良はあまりの気迫に怯んだ。というか、もはやドン引きである。
「はいはぁーい、感動したのはわかったからちょっと落ち着こうか、愛美アイミちゃん?」
やっと沙穂子のツッコミが入った。
「ご……ごめんなさい。」
そういって愛美は希良の手を離した。
「とにかく、美音の代役とは言え合唱部へようこそ、宮路さん。」
「ど、どうも…。」
先ほどよりは和やかな空気が流れ出したその時、
「あら、もう来てたの?」
「山羽先生、こんにちは!」
「「こんにちは!!」」
山羽がやってきた。