音楽バカ
歌い終わると、会場の静けさが染みた。
もちろん、良い意味で。
「素晴らしい!」
1人の審査員がそう言って拍手をした。それに連なって次々に拍手が起きた。
「ソプラノの君は代役だそうだが…。」
代役は普通できないのだが、毎年出場しているということで、特別な許可を得たのだ。
「あ、そうです。」
「よく立派に勤め上げました。
とてもよかったです。」
その審査員は微笑んだ。
「ありがとうございます…!」
希良は泣きそうなのをこらえて微笑んだ。
あぁ、終わったんだな。
大変だったけど
合唱って楽しい……!!
終わってから、
山羽は舞台袖で3人を迎えた。
「ありがとう。」
山羽は希良に言った。
初めて見せた笑顔だった。