。☆゜星空゜☆。
電話のコールーーーー。
いつもならなにも感じないのに、このときだけは長く感じた。
そのとき、
「流奈?」
いつもどおりの翼の優しい声。
でも、どことなく、か弱くて元気のない様子が伝わってきた。
あたしは涙が止まらなかった。
「つ…ば…さ……」
「流奈?電話ありがとう」
いまにも消えそうな翼の声が胸に染みた。
「ごめんなさい……」
その一言を言うのが精一杯だった。
「逢いたい……、流奈に逢いたいよ……」
「うん……、流奈も翼に逢いたい……」
「迎えに行っていい?」
「うん……、来てください……」
「すぐ!すぐに行くから待ってろな」
あたしは待ちきれずに、電話を切ったあと、家を飛び出した。
翼に逢える。
頭の中はそれだけだった。
あたしは、翼が通ってくる道を歩きながら、1台1台、車を確認した。
そのとき、猛スピードで1台の車が走ってきた。
翼だぁー!
あたしは車に向かって走り出した。
……んっ!?
翼の車は、そのままあたしの横を通り過ぎていった。
えっ!?
気づいてない?
あたしは来た道をまた走って戻った。
そしてカーブを曲がると、ハザードランプを出して翼の車が停まっていた。
やっぱり翼、気付いたんだ。
あたしは車に近づき、覗き込んだ。
あれ……!?
翼のガラスはフルスモークで、顔を近づけても、あまり中が見えない。
ってか、あたしが覗いてんの見えるはずなのに意地悪!!
そう思ってドアを開けたら、そこには翼がいなかった。