。☆゜星空゜☆。
「……っ!いってーなぁ~!ふざけんなよ!!」
その瞬間、男たちは逃げていった。
あたしは理恵に「帰っていいよ」と目で合図した。
ボコッーーーー。
ドスッーーーー。
「うっ……、ゲホッ!」
止まらない雄也のパンチと蹴り。
「別れるって言うなら、殺して俺も死ぬよ?」
「ゴホッ……、そ、じゃあ殺せば……」
笑って雄也にすがりついた。
「こっち来いや!」
雄也はあたしを近くの歩道橋まで引きずっていった。
そして傷だらけのあたしを抱きかかえ、足首を持ち歩道橋の上から宙吊りにした。
でも、怖くなかった。
こんなケンカはしょっちゅうだったから。
別れ話を切り出すと、いつもそうだった。
夜中、車もあまり通らない歩道橋で、あたしは宙吊りにされている。
逆さに見える景色に、大声で笑って言った。
「いいから放せよ手。殺したいんでしょ?」
「別れたい?」
「あのさぁ……、でもこんな微妙な高さでちゃんと死ねる?中途半端じゃ嫌なんだけど」
さすがの雄也もあたしの開き直った態度に観念したのか、ため息をつき、引き上げた。
できないくせに。
そう思いながら雄也を睨みつけた。
もうこりごり、別れたい。
「俺、別れねぇから……」
「もう疲れたよ……」
雄也の鋭い視線と、どことなく寂し気な表情から目を反らし、あたしは歩き始めた。
「待てよ!」
雄也が思いっきり、あたしの肩を掴んだ。
「いてぇよ!」
肩から体中に痛みが走る。
殴られた顔を目が半分しか開いていないのが自分でもわかり、少し力を入れるだけで、お腹や太ももや背中にとてつもない痛みが走った。
「流奈がいけないんだよ」
そう言う雄也に振りかえり、ただ「さよなら……」と言って、足をひきずりながら歩き出した。