。☆゜星空゜☆。


「えっ?『またなにかあったら』って?『また』って?」


お兄ちゃんは落ち着きを取り戻しながら、


「だから~、またそんなんですれ違って翼が荒れたらと思ってさ!それに行き違いになったら困るから」


あたしは納得いかないまま部屋に戻された。


変……、絶対なんか変だよ。


お兄ちゃんも翼も、きっとなにか隠してる。


疑いながらも、ひとり残された翼の部屋でひたすら翼を待っていた。


翼がいない時間は、あたしにはとっても長くて、すごく寂しくて、不安な気持ちを抱えながら、時計とにらめっこしていた。


翼が家を出てから2時間半。


あたしが起きてから1時間半。


時間は午後10時半過ぎていた。


そのとき、あたしのピッチが鳴った。


翼だっ!あわてて電話に出た。


「もしもし?」

「翼!?」

「流奈、ごめんな……」

「いまどこ?なんか後ろ騒がしくない?」

「大丈夫だよ。いまから帰るから!」

「翼のバカ!!」


翼の声を聞いた瞬間、ほっとして涙が出てきた。


「ごめんな……」

「もう~、なにしてたの?」

「仕事の親方に呼ばれたんだよ~。泣くなって」

「もう、本当にバカ……」

「言ったろ?流奈は笑ってなきゃダメだって」

「うん」

「よし!いい子だ!忘れちゃダメだよ?」

「いいから早く帰ってきてよ~」

「わかったよ。あと30分くらいで着くから待っててな」

「うん、じゃあね!」


電話を切ったあと、あたしは涙を拭いた。


笑顔、笑顔。


そう自分に言い聞かせて……。


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