。☆゜星空゜☆。


翼を連絡が取れたあたしは、すっかりご機嫌で、翼の電話から30分が経った11時を過ぎた頃には駐車場で待っていた。


車のライトが見えるたび、翼かなって期待して。


でも、翼は電話から1時間経っても戻ってはこなかった。


なにやってるんだろ……、おかしいな。


もう一度、翼に電話をしてみた。


トゥルルルルーーートゥルルルーーー。


また、不安にさせる長いコールを聞きながら、あたしは部屋に戻り、何度も何度も翼に電話をかけ続けた。


あたしは途方に暮れ、ピッチを見つめては翼の帰りを待っていた。


翼の最後の電話から2時間ちょっと経った頃、部屋のドアがノックされたので、あたしは急いでドアを開けた。


そこにはお兄ちゃんの姿があった。


「……流奈ちゃん」


お兄ちゃんは不安そうなあたしに微笑みかけて言った。


「翼が待ってるから……、一緒に行こう……」


優しい笑顔で微笑んでいた。


あたしは意味が分からなかった。


本当意味がわからなかった……。


「翼はさっき『いまから帰る』って言ってたから」

「流奈ちゃん、翼が待ってるんだよ」


不思議そうな顔をしていると、頭を優しくなでられた。


「ごめんな……本当にごめんな……、流奈ちゃん」


そう言うと、ドアの前で泣き崩れた。


そのとき初めて嫌な予感がした。


「翼は?なんで帰ってこないの?」

「流奈ちゃん、一緒に行こうね」


お兄ちゃんは、それ以上なにも言わず涙を拭きながら、あたしの手を引っ張って階段を降り、外に出て車のエンジンをかけた。


あたしは黙って助手席に座った。


お兄ちゃんも黙ったまま、目に涙を浮かべ運転をしていた。


“翼が待ってる”


なんで?翼は帰ってくるって言ったのに。


普通ではないお兄ちゃんの様子にすごく不安を感じた。






< 131 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop