。☆゜星空゜☆。
「翼はな、事故だったんだよ。相手の男たちを本当に刺したらしい」
「死んだの?」
「それがみんな病院送り。生きているみたい」
「そう……」
「翼はそのあと家に向かってたみたいなんだ」
「うん……」
「捕まるのは承知で、一度、流奈ちゃんのところに戻ろうとしてた」
「警察に?」
「そう。俺に電話がきたんだ。『警察が捜してるから、家に着く前に捕まったら流奈に手紙を渡してくれ』って……」
あたしは翼からの手紙を握りしめた。
「そしたら言ったんだよ、アイツは俺に。『流奈には幸せになってもいいから……って言っておいて。あと、ずっと笑ってろ!って』そう言ったんだ。それがアイツからの最後の電話……」
「どうして?どうしてそのときあたしに言ってくれなかったの?」
「翼との約束だから」
お兄ちゃんの肩はまた震え始めていた。
「翼は俺との電話を終えて、飛び出してきたバイクを幅寄せしてきた車をよけようとして事故ったんだ……。
でも、そのバイクと車は翼を待ち構えていたらしい。逃げてまだ捕まってないんだ」
「そう……」
「流奈ちゃん、翼からの手紙読んであげて。アイツ一生懸命書いてたから」
あたしはなにも言わず翼の部屋に戻った。
そして、そのまま力が抜けたように座りこんだ。
翼はあたしのせいで……、死んだ。