。☆゜星空゜☆。
.:*守りぬくもの*:.
あたしは自分の荷物をまとめて涙を拭き、部屋のドアの外に立って、翼と過ごした部屋を見つめていた。
現実を受け止めなきゃいけないと思う自分と、この現実が嘘であってほしいと思う自分とで、頭の中がゴチャゴチャだった。
「翼、また来るね。」
そうつぶやいて、静かに部屋のドアを閉めた。
「お兄ちゃん」
あたしはお兄ちゃんのそばに行って頭を下げた。
「ごめんなさい……、翼を奪って……」
また涙が溢れた。
「いい加減にしろ!!」
お兄ちゃんは、あたしを包みこむように抱きしめてくれた。
「いい?絶対に自分を責めるようなことだけはしちゃいけないからな!!」
あたしはなにも答えることができなかった。
「また、来てやってくれ。翼も喜ぶから」
「はい……」
と答え、お兄ちゃんにまた頭を下げた。
どんなに謝っても、もう翼は戻ってこない。あたしのせいで。
そう思いながら、あたしはお兄ちゃんに笑顔を見せて、
「4日は顔出します」
笑顔を返してくれたお兄ちゃんにさよならをした。
お兄ちゃんは玄関の外に出て、あたしが見えなくなるまで、いつまでも見ていてくれた。
角を曲がる時、あたしは振りかえり、手を振った。翼と約束した、精一杯の笑顔で……。