。☆゜星空゜☆。
12月31日。
あたしは部屋に閉じこもったままだった。ずっと鳴りつづけるピッチ。
先輩たちやワルたちからだった。
きっと日の出暴走のことだろう……。
そう思って電話に出なかった。
鳴りやまないコール。
あたしは電源を切った。
しばらくして、理恵から家に電話がかかってきた。
「流奈、理恵ちゃんからよ」
お母さんが電話の子機を部屋に置いていった。
あたしは悩んだ末に電話に出た。
「はい……」
電話の向こうからは、すすり泣く声だけが聞こえてきた。
「理恵?」
「……流……奈……」
「どうしたの?」
電話から聞こえる理恵の泣き声に、あたしはびっくりした。
「流奈……、頑張ったね……」
予想してなかった言葉に、我慢していたなにかがはじけて、泣きわめいた。
「流奈……責めないで? 絶対に自分を責めちゃダメ」
震えながら話す理恵。あたしは完全に言葉を失っていた。
「翼くんから電話が来たんだ。ヤツらのところへ行く前に」
「そう……」
「『流奈を頼む』ってそれだけ言って電話が切れたの」
「そう……」
「止められなくて、ごめんね」
「翼は止めても行ってたよ。きっと流奈が止めても無理だったと思う」
「流奈、お葬式、理恵も行く……」
「わかった」
「それと先輩たちからガンガン電話来て、流奈がばっくれてるってキレてたよ」
「あぁ……、電源切ったから」
「日の出暴走のこと?」
「そう」
「行かないよね?」
「うん、翼と約束したから」
「ならよかった。またあとで連絡するね」
「うん……」
電話が切れた。
夕方。バイクの騒音が鳴り響き、その音がだんだん近くなってくるのがわかった。
あたしの家の前に停まった瞬間、誰かが叫んだ。
「おい!流奈、出てこいよ~!」
あたしはシカトして、ベッドに潜りこんだ。
行かない。行かないよ。翼と約束したから……。
頭から布団をかぶった。