。☆゜星空゜☆。
そうだよね、今日は大晦日だから、彼と一緒だよね。
そう気づき、「なんでもないよ!ごめんね~」なんて明るく振る舞っていた。
そう。この世から翼がいなくなったって、まわりはなにも変わらないんだよね。
時間も普通にすぎていく。
あたしだけなんだ、あのときのままで止まっているのは。
電話を握りしめたまま、また涙がこぼれた。
「……てる?」
「えっ?」
理恵がなにかを言いかけていた。
「やっぱ聞いてない……。いまどこにいんのか聞いてんの!!」
あたしはとっさに黙った。
彼と一緒にいるところを邪魔したくなかった。
「マジ、流奈、怒るよ? どこいんの?」
「理恵……、ごめんね……」
「早く言いなって!!」
「……なんか田んぼみたいなところ」
「わかった。いま行く!」
「あっ!理恵」
話しかけたときには、すでに電話は切れていた。
もう限界だった。
ひとりでいることが怖くて、どうにかなっちゃいそうで、寂しくて耐えられなかった。
30分くらい経った頃、暗闇から人影が見えた。
「流奈~?」
理恵の声が聞こえた。
「理……」
叫ぼうとすると、また体中に痛みが走った。
ずっと体勢を変えないままガードレールに寄りかかっていたら、足が冷え切り、顔も冷たくて痛かった。
一体どこが痛いのかわからないくらいに、もう寒さと痛さで麻痺していた。
理恵があたしを見つけて、走ってきた。
「なにやってんの?こんなところで~!!」
無理に明るく笑いかけてくる理恵に、あたしも作り笑いで返した。
「行こう!」
理恵があたしに手を差し出した。あたしも手を伸ばそうとしたけど、半端じゃない痛みが走り、途中で止めた。
「いって……!」
「流奈?」
理恵はピッチを取りだし、ディスプレイの明かりであたしの顔を照らした。
まぶしくて顔を背けた。
理恵はあたしの顔を見るなり、座りこんで泣きはじめた。