。☆゜星空゜☆。
しばらく経ったとき、1台の車があたしの横で止まった。
「ねぇ、なにしてんの?ひとりじゃ危ないよ?」
ふたり組の男が声をかけてきた。
「遊びたいの?それともヤリたいの?」
「なにスネてんの?あっ、わかった!彼とケンカしたの?」
その瞬間、あたしの中のなにかがキレた。
「うるっせ~んだよ!」
怒りが込みあげ、車を蹴とばした。
その瞬間、体中に痛みが走って、その場にしゃがみこんだ。
「てめぇ~!このくそガキが!!」
助手席の男が降りてきて、しゃがみこんでいたあたしを蹴った。
「うっ……!!」
蹴りが肋骨に直撃して息を吸えなかった。
「ねぇ……、殺してよ……。そのまま殺しちゃって……」
あたしは男のズボンにしがみついた。
「気持ちわりぃ~、この女、頭おかしいぞ~!」
まるでケダモノを見るかのように冷めた目で見つめ、逃げるように車で走り去っていった。
殺しちゃってよ。
翼……翼……。
頭ん中はただそれだけで、翼のところに行きたかった。
でも、でもあたしはまだ死ねない。
ちゃんと罪を償わなければ死ねないんだ。
必死になって立ち上がり、家に向かった。
フラフラになりながらやっとの思いで歩いてるあたしを、通りすぎる人たちは不思議そうに覗きこんでいた。それでも必死に歩きつづけた。
家に着いて鍵を開けたら、チェーンが閉まっていた。
あたしが夜遊びをはじめた頃は、何度か閉め出しをくらっていたけど、最近は家に帰っていなかったせいか、閉め出しをくらうこともなくなっていた。
でも、この日にかぎって、あたしは家に入れなかった。
いままでのあたしなら、「開けろよ!」と怒鳴っていたけど、もうそんな元気もなく、玄関の前に座りこんだ。
孤独だった。寂しかった。
あたしはずっと空を見上げていた。微笑みながらずっと――。