。☆゜星空゜☆。
.:*星空の下で*:.
しばらくずっと、海を眺めていた。
風が冷たくて、大きな波の音だけが聞こえていた。
あたしにそっと上着がかけられたとき、一瞬、息ができなくなるかと思ったくらいにびっくりした。
急いで振り向くと、そこには海を見つめるお兄ちゃんの姿があった。
「お兄ちゃん……」
そう言うと、あたしの頭をなでながら、手と取り、立ち上がらせてくれた。
「冷えてるね……。寒かったでしょ」
お兄ちゃんは小さな小さなビンをあたしの手にのせた。
「えっ!?」
あたしは、海のほうを見ているお兄ちゃんの顔を覗いた。
「翼……、翼だよ」
えっ?翼……。
あたしは力が抜けて、そのまましゃがみこんだ。
これが……翼……?
小さな小さなビンを両手で包んだ。
「いや……、いやぁぁぁ!!」
あたしの声は波の音に消されていった。
これが……?翼なの?
あたしの手の上にのせられた現実は、あまりにも残酷すぎて、あまりにも衝撃的すぎた。
「こんなに……、こんなにちっちゃく……」
あたしはただそのビンを両手で包みこみ、静かに泣いた。
「翼、なんでよ。どうして……」
あんなにも温かい腕の中で、あたしは抱きしめられていた。
あんなにも大きい胸の中であたしは眠りについていた。
あんなにも素敵な笑顔で笑いかけられていた。
そんな翼が……、いまあたしの手の中にいる。
あたしは目の前にある現実を突きつけられた。