。☆゜星空゜☆。
「流奈ちゃん、翼は生まれかわるんだよ。かならず流奈ちゃんのところに戻ってくるから」
「いやっ!来ないよ!!生まれかわるってなに!?あたしは翼じゃなきゃダメなの!!」
「わかってくれ……。翼のためにも……」
お兄ちゃんは唇を噛みしめていた。
あたしは手の中でビンを力いっぱい包んだ。
「わかった……、わかったよ、お兄ちゃん」
涙を拭いて、お兄ちゃんに精一杯の笑顔で微笑んだ。
「流奈ちゃん」
お兄ちゃんの目から涙がこぼれ落ちた。
夜の海。
いま、あたしはお兄ちゃんとふたりで翼にさよならをしようとしている。
あたしの手の中で、小さな小さなビンの中にいる翼と。
「翼……。流奈、もう泣かないよ。もう泣かない」
そう言いながら、あたしはビンの蓋をはずした。
心臓を誰かに掴まれたような、そんな痛みが走る。
このまま海に飛びこみたいくらいだった。
泣き叫びたかった。
それでもあたしは蓋を握りしめ、お兄ちゃんに微笑んだ。
泣かない……絶対に泣かないんだ……。
お兄ちゃんがあたしの肩を掴んだとき、息を飲んで、あたしは夜の海に、
小さなビンの中にいる翼を振りまいたーーーー。
翼、愛してる
何度も何度も心で叫びながら……。
「流奈はずっと笑っているからね!!」
そう最後に叫んだ。
ちりばめられた翼は、あたしの目の前で、あっという間に夜の海の中に消えていった。