。☆゜星空゜☆。
あたしは空を見上げた。
翼が海へと消えていった日の空は、
とてもきれいで、さっきまで降っていた雨も、嘘みたいにあがっていた。
「翼、すごくきれいだね」
そうつぶやいた。
「翼のこと、迎えてくれているよ」
あたしは涙を一生懸命堪えて、きれいな星空を見ていた。
1996年1月5日。
翼は星になったーーーー。
「ありがとう」
その言葉を聞き、お兄ちゃんを見ると、あたしと同じように星空を見つめていた。
「翼は、この景色が好きだったんだな……」
あたしは微笑みながら空を見上げつづけた。
砂浜に戻ると、お兄ちゃんは目をつぶり、海に向かって翼になにかを言っているようだった。
あたしはお兄ちゃんの寂しそうな後ろ姿を見て、胸が痛くなった。
「よし!!流奈ちゃん、行こうか」
そう言いながら、あたしに近づいてきた。
「少しここに残ります」
「危ないから」
そう言うお兄ちゃんに、あたしは首を振った。
「わかった。そのかわり、帰りはかならず連絡くれる?迎えに来るから」
あたしは笑顔でうなずいた。
「約束だよ?流奈ちゃんになにかあったら、翼に恨まれるからよ~」
「はいっ!大丈夫!!流奈は死んだりしないから」
お兄ちゃんは、それを聞くと、どこか安心した顔を見せた。
「じゃ、先に帰るね?」
お兄ちゃんは手を振りながら、翼のいる海をあとにした。