。☆゜星空゜☆。


あたしは空を見上げた。


翼が海へと消えていった日の空は、


とてもきれいで、さっきまで降っていた雨も、嘘みたいにあがっていた。


「翼、すごくきれいだね」


そうつぶやいた。


「翼のこと、迎えてくれているよ」


あたしは涙を一生懸命堪えて、きれいな星空を見ていた。




1996年1月5日。


翼は星になったーーーー。




「ありがとう」


その言葉を聞き、お兄ちゃんを見ると、あたしと同じように星空を見つめていた。


「翼は、この景色が好きだったんだな……」


あたしは微笑みながら空を見上げつづけた。


砂浜に戻ると、お兄ちゃんは目をつぶり、海に向かって翼になにかを言っているようだった。


あたしはお兄ちゃんの寂しそうな後ろ姿を見て、胸が痛くなった。


「よし!!流奈ちゃん、行こうか」


そう言いながら、あたしに近づいてきた。


「少しここに残ります」

「危ないから」


そう言うお兄ちゃんに、あたしは首を振った。


「わかった。そのかわり、帰りはかならず連絡くれる?迎えに来るから」


あたしは笑顔でうなずいた。


「約束だよ?流奈ちゃんになにかあったら、翼に恨まれるからよ~」

「はいっ!大丈夫!!流奈は死んだりしないから」


お兄ちゃんは、それを聞くと、どこか安心した顔を見せた。


「じゃ、先に帰るね?」


お兄ちゃんは手を振りながら、翼のいる海をあとにした。



< 183 / 192 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop