。☆゜星空゜☆。
11時ーーーー。
紙を見ながら、ひとつずつボタンを押していく。
心臓音が高鳴るなか、すぐに呼び出し音が途切れた。
「もしもし……」
「あっ!わかる?流奈だけど……、夜遅くごめんね」
「流奈?」
「うん!」
「ば~か!おせぇ~んだよ!」
「えっ?ごめんね」
「待ってる身にもなれよ……」
「なんだかね、すごく緊張しちゃって」
「来ないと思った……」
翼の声は聞こえづらいほど、不安そうな声をしていた。
「なんで」
「だって……」
「だってなに?」
「流奈のことだからピッチ番号忘れるか、間違えて覚えてるかと思ったよ」
「あっ、そう~!ムカつく!相変わらず!!」
「…ぁ……り……ぅな」
「なに?聞こえない~」
「ありがとうな!うれしかった!」
「えっ?あ……うん」
翼の“ありがとう”が胸に響いた。たったひと言なのに……。
「翼、なにしてたの?」
「べつに……」
「べつにか……。なんか周り静かだね」
「でも外だよ」
「外?ひとりで?」
「おう」
「そっか……」
「昨日の公園のベンチ」
「ベンチって、昨日、流奈が座ってた?」
「うん」
「なんで?家入らないの?」
「なんでかな……、よくわからないんだ」
「変なの~、バカじゃん!」
「……変だよ。流奈からこのまま電話は来なかったら、もう二度と逢うことないんだ……って、思ったらここに来てた」
「……翼?やっぱ変だね」
それから翼は黙ったままだった。