。☆゜星空゜☆。
.:*願い事*:.
あたしたちは夕方までプールで遊びほうけた。
「流奈、たぶん真っ黒だぞ」
「翼もね」
「夜はきっとヒリヒリして痛いなぁ」
「痛くて眠れないかもね」
「そろそろ行くか!」
「うんっ!」
たくさん、たくさん写真を撮った。
初めてのデート。
すごく楽しかった。
プールって場所がこんなに楽しい場所だなんて、今日初めて知った。
帰りの車の中では睡魔が襲ってきた。
横を向くと翼が真剣な顔をして運転していた。
そして、繋いだ手を見て、あたしはほほ笑み、そっと目を閉じた。
「流奈、疲れたろ?少し寝てな」
「ううん、ぜんぜん大丈夫!」
「流奈、子供みたいにはしゃぐからな」
「だって楽しかったもん」
「また明日から仕事だよ」
「うん……。寂しい」
「俺は逢いに行くけどな」
「うん!」
しばらくして翼のピッチが鳴った。
「もしもし、はい、あ…はい。わかりました!はい、お疲れ様です」
電話を切った翼は、なぜかうれしそうだった。
「流奈ぁ~!明日、休みだって!現場空いたみたいでさ!」
「本当?」
「だから今日、一緒にいよう!」
「うんっ!」
「……って、流奈は学校だよな……」
「学校?ぜんぜん行ってないし」
「俺ダメな奴じゃん。ダメだ!学校行かなきゃ」
「嫌!今日だけだから。翼といる!」
あたしは雄也と別れて以来、まったく学校に顔を出していなかった。
「俺も一緒にいたい……。でも学校には行ってほしい」
「わかった。じゃ、朝起きてちゃんと行く」
「本当?」
「うん」
「それから……、俺と約束してほしいんだ」
「約束?なに?」
「ちゃんと学校に行くこと!あとは、悪いことしないこと!流奈は女の子なんだから」
「うん……。わかった」
「よろしい!じゃあ、明日、俺が送ってやる」
「本当にぃ~?やったぁ~!」
翼は喜んでいるあたしに、いい子いい子してくれた。