。☆゜星空゜☆。
あたしは下を向いて翼の車に乗った。
翼の顔を見ることができなかった。
顔に傷があるからじゃない、翼を裏切ったことに深く罪悪感を感じた。
「流奈、帽子取れ」
「嫌だ、髪がすごいことになってるから」
「いいから取れ!!」
翼が怖かった。
いつもの翼じゃなかった。
あたしは帽子を取っても下を向いたままだった。
翼があたしのアゴに手を当てて顔を持ちあげた。
「……っ!」
翼が目が鋭くて、あたしはふたたび目を反らした。
こんな翼の表情を見るのは初めてだった。
「なんでだよ……、ひでぇじゃんか……」
「……」
「流奈!」
「ごめん……」
「お前、なんで守ってくんねぇの?なんでだよ!俺の言ってることって、そんなに難しいことか?」
すごい剣幕で怒る翼にあたしは言い返した。
「……わからないよ、翼になんか」
本当は今日、単車に跨ったのに、翼を思い出して家に帰ろうとしたんだよ?なのにヤツらが待ち伏せしてたんだ・
「翼にはわからないよ!あたしの気持ち」
「そんなんわかりたくねぇよ!言っただろ?」
「翼だってそうだったでしょ。もっとたくさん悪いことしてきたでしょ?翼に言われたくなんかない!」
「……そうか。俺にはわかんねぇや……、ごめん」
「抜け出せないんだよ!もう遅いんだよ!!一度、踏み外した道は戻れないんだよ」
「流奈……、帰っていいよ!降りろよ」
あたしは翼を睨んだ。
「わかったよ!バイバイ」
あたしは翼の車から降りて走った。
本当は一緒にいたかった。
素直に「ごめんね」って言いたかったのに……。