最初に愛した、あなたの記憶
朝ご飯をふたりで食べてる時に
けんちゃんに聞いてみた。

「ねぇ、亮っていう名前の人知ってる?
今日も夢に出てきたんだぁ。声だけだったけど。」


「さぁ…。
さてはお前、俺みたいなイケメン捕まえて浮気願望かぁ。」

あたしはこのけんちゃんとの普通のやりとりが
たまらなく
好きだ。


四年も一緒にいれば
相手がどう返してくるとか
だいたいは分かる。

だから安心して
あたし達のリズムで
会話できる。


あぁ、たまらなく愛しい。



なんて事を考えるうちに、
亮っていう人の事は
あたしの頭から消える。


泡が消えていくみたいに

静かに

ゆっくりと。
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