最初に愛した、あなたの記憶

由季と健一

あたしは時々、考える。


もしあたしから
健一という存在をとってしまったら

多分あたしは
死んでしまうんじゃないだろうか、と。

大げさなのは分かってるけど


でもそれほど、あたしのなかで健一の占める割合は
呆れるほど大きい。


その健一がいなくなってしまったら
自分がどうなってしまうのか

自分がどれほど泣き続けるのか

自分が自分でいられなくなってしまうことを、

あたしは
まるで経験したことがあるように
手に取るように分かる。


だから、隣にいて当然の健一の存在が
これほどにも愛しいのだろう。