最初に愛した、あなたの記憶
けんちゃんは
静かにうなずいた。


あたしのこんな変な話を
すごく真剣な顔で聞いてくれてる。


そしてあたしの手を両手で握った
ぎゅっと
力強く


そしてけんちゃんの口がひらいた

「会いに行こうか、亮に。」




あたしは
びっくりしていたけど
自分でもびっくりするくらい落ち着いて

でも目を
涙でいっぱいにして
頷いた。

「会いに行く。連れてって。」



待ってて
あたしの記憶、そして亮。


自分の過去に何があったのか分からないし
楽しい事じゃないのは嫌でも分かるけど

待ってて。


今あなたを探しに行く。



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