*あたしの好きな人*
「いや、なんでっていうか‥‥なんとなく‥‥俺の予想?だってあいつ、柚ちゃんと終業式に最後に会って、それから急に荒れ始めたんだ。だから柚ちゃん関係してんのかなって思って‥‥」
ほらね、やっぱり。
ただの祐介さんの勘。
期待しなくてよかった。
「龍はさ、中学のときからめちゃくちゃに荒れてたんだ。まぁなぜか頭だけは良かったからなんとかこの高校に入れたんだけど。それで中学はケンカが絶えなくて、一度他校のヤツ殺しかけたんだ‥‥」
え?殺しかけた?
少し間をおいて
祐介さんは続けた。
「無心で殴り続けたから。その理由は‥‥その時付き合ってた女がその男にたぶらかされて、好きになっちまって騙されたんだ。それで、仲間がヤバイと思って警察に連絡して、龍は捕まったんだ。すぐに帰れたんだけどね。今の龍はそのときよりひどい気がして‥‥俺ちょっと心配なんだよね。何も起こらなきゃいいけど。」
祐介さんはそう語った。
あたしは何がなんだかわからず、
頭の中が真っ白だった。
「あ、あの‥‥あたしは‥‥あたしが行ってもいいんですか?きっとあたしじゃどうにも‥‥」
「ん〜俺的にはあいつの中で柚ちゃんの存在がでかいと思うんだ。」
「そうですか‥‥。本当は今日会いに行ってみようと思ってたんです。」
「マジで!行ってやってよ。」
「はい‥‥行ってみます。」
電話を切って、あたしは
しばらく放心状態だった。
ボーッと考えていると、
いつの間にかもう夕方だった。
「柚ー!ご飯できてるよ!」
お母さんが下で呼んでいる。
あたしはとりあえずご飯を食べるため
下に降りた。