*あたしの好きな人*
プールに着き、更衣室で着替えをすませ、
龍のもとへ行った。
「おまたせ!」
「あ、おぉ‥‥」
ん?龍?
龍は背中を向けて歩いて行った。
「龍、待って。」
龍は速度を変えず、
しかも目を合わせない。
そして龍は突然、
売店でピンクの浮き輪を買って
あたしにスポッとはめた。
「え?なんで浮き輪?」
「お前、溺れそうだから。」
「溺れないしー!」
「うそ。他のやつらに見られたくないから少しでも‥‥って、腹しか隠れねーな。」
あたしは急に恥ずかしくなった。
そして意識してしまったせいか、
なぜか龍の上半身裸だということが
今になって恥ずかしくなった。
バカだ、あたし。
龍、すごく綺麗な体してる。
筋肉がついてて、こんがり焼けてて。
「何ボケっとしてんだよ。行くぞ。」
龍に手をひかれ、
プールの中に入った。