*あたしの好きな人*

プールの中で、
龍はあたしの浮き輪をつかみ、
引っ張ったり回したりして、
あたしが恐がるのを楽しんでいる。



しばらく遊んでプールから出て
椅子にすわった。



「もう!龍、回しすぎ!」

「はは!わりわり!だっておもしれーもん。」

「酔うし!」

あたしは龍をポカポカ叩いた。




「あの人かっこよくない?」

「いいなぁ〜あんな彼氏。」

そんな会話が聞こえ、
前を見ると向かいにすわっている
女の子たちが騒いでいた。


「あれ彼女かなぁ。」

「でしょ。さっき超仲良さそうに遊んでたし。」



見ないで。
龍を見ないで。


そう思う自分もいれば、

かっこいい‥‥当たり前じゃん。
龍だもん。自慢だもん。
ふんっ。

って思う自分もいる。


でも今は龍は言ってみれば
パンツ一枚のようなもの。



龍の体を見ないで!
って気持ちのほうが強い。



よく周りを見てみれば、
チラチラ龍を見ていく女の子が
多い。



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