*あたしの好きな人*
「はぁ。柚、一回しか言わねーからよく聞けよ。」
龍はそう言ってあたしの顔をあげた。
そしてしっかりあたしの目を見た。
何を言われるのか、
たったの数秒がとても長く感じた。
「俺は、誰に何を言われようとお前だけだから。俺が初めてマジに好きになった女は柚だよ。」
あたしの目からは涙が流れた。
嬉しすぎて言葉にならない。
嬉しいなんて言葉じゃ足りない。
「泣くな‥‥‥お前の気持ちは?」
「あたし、の気持ち?あたしは、りゅ、龍が好きだよ。龍より好きが大きいもん。好きすぎて、苦しいよ。」
‥‥ッ!!
龍はいきなりあたしを抱き締めた。
龍の力が強すぎて苦しい。
あたしも負けずに力を強めた。
龍は一瞬力を抜き、
またグッと力を入れてきた。
だからあたしもまたさらに力を入れた。
そしたら龍もまた力を入れてきて。
「無理ー!苦しい‥‥」
あたしの負け。