*あたしの好きな人*
「腹減った。なんか食いに行こ。」
祐介さんの提案で、
学校近くのファーストフード店に行くことに。
玄関までは男と女に別れて歩き、
校門を出たところで急に奈々は祐介さんの隣に行ってしまい、自動的にあたしは桜井龍と歩かなきゃいけない状態。
あ〜、何話そう。
緊張して何も出てこないや。
それに、
まだまだ痛い女子の視線。
下校中の、きっと桜井龍ファンだと思われる女子があたしを睨む。
ほとんどが先輩。
桜井龍とタメの女たち。
何よ。あたし何も悪いことはしてないし。
「柚ちゃん?」
急に桜井龍に呼ばれた。
「はいっ!?」
「なんか考え事でもしてんのか?」
「いえ、そんなことないです。」
「早く行かないと、あいつらもう遠くなってるけど。」
げ!奈々たち歩くの早いよ。
「ごめんなさい!ちょっとぼーっとしてしまってました!」
「はは!大丈夫か?」
「はい。」
それからあたしと桜井龍は
少し早足で奈々たちに追い付いた。
ファーストフード店に着き、
また自動的にあたしは桜井龍の隣にすわることになった。
学校の近くということもあり、
生徒が何人かいる。
やっぱりあたしは睨まれる。