*あたしの好きな人*
「え?反対方向だよ?」
「送るって言ったろ。」
送るって、そういうこと?
ねぇ、こんなに嬉しくていいの?
あんまり優しくされると、
あたし変に期待しちゃう。
そして二人で電車に揺られながら、あたしの降りる駅に着き、龍も一緒に降りた。
「ここでいいよ?」
「危ねーから。嫌じゃなきゃ家まで送る。」
「‥‥ありがと。」
はぁ〜、あたしの心臓、
今日はドキドキしっぱなし。
壊れそう。
あたしの家までは駅から約20分。
いつもは長く感じる20分も、
龍と話ながら歩く20分は、
とてつもなく早く感じた。
「ここ。あたしの家。」
「おぉ。じゃぁ、また明日な。」