*あたしの好きな人*
今日も暑い。
昼休み、奈々と二人で
祐介さんと龍が迎えに来るのを待っていた。
「祐介たち、遅いね。お腹減ったし先に食べちゃう?」
奈々は待ちくたびれていた。
「そだね。なんにも連絡もないしね。」
そう言うと、二人でゆっくりお弁当をあけて食べ始めた。
「柚、最近龍さんと何か進展は?」
奈々が興味津々な表情で聞いてきた。
「進展〜?ん〜とくに。。。。今までと変わらないよ。」
「でも、柚、龍、って呼ぶ仲までいってて、ほとんど毎日一緒に帰ってるじゃん?」
「うーん。そうだけどさ、誘うのいつもあたしだし。」
「でも嫌なら一緒に帰ったりしないよ。ちょっとは柚に気があるからじゃない?」
「あ〜やめて!そんなこと言われたらあたし調子に乗っちゃうじゃん!」
あたしは奈々の言葉を掻き消すように頭を左右にブンブン振った。
「椎名ってやついる〜?」
そのとき、教室の後ろのドアからあたしを探す声が聞こえ、振り向いた。
と、同時にクラスの女子があたしを呼びにきた。
「柚ちゃん、先輩が呼んでるよ?」
先輩。。。。。
あ、あの人、、、、
龍のファンクラブリーダー、篠山理穂だ。
「柚、どうする?」
奈々が少し心配そうに聞く。
「うん。ちょっと行ってくるね。」
あたしはそう行って立ち上がり、篠山理穂の前に立った。