*あたしの好きな人*
あたしは軽くその男子に頭を下げて龍に引っ張られながら歩いた。
龍、、、手首痛いよ。
あたしは龍の彼女じゃなければ、
龍はあたしの彼氏でもない。
あのとき、付き合ってるのかって
聞かれて、あたしは返事に困り、
龍はそれには何も触れずにいた。
そりゃそうだよね。
きっと龍も答えに困ったんだよね。
付き合ってないのにいつも一緒に帰って、あたしは龍を誘って、龍はただそれに付き合ってくれてるだけ。
わからない。
あたし、昔はどういうふうに好きな人にアピってたっけ。。。。
龍を好きになったとたん、
あたしがあたしじゃなくなったみたい。
「柚?わりぃな。話しかけられてんのに勝手なことしちまって。」
龍は少し申し訳なさそうな顔をした。
「ううん、いいよ。」
あたしは悲しかった。
そんなこと言うってことは、
龍にとってあたしはべつに特別でもなんでもないってことになるよね?
「なぁ、お前今日なんか元気なくねぇ?」