*あたしの好きな人*
*2-1*
その夜、あたしは横山に家まで送ってもらい、家の前で別れた。
「ただいま‥‥」
静かに部屋に行こうとしたとき。
「柚?え!何それ!どうたんだよ!?なんかあったの!?」
「お姉ちゃん‥‥」
あたしはお姉ちゃんの顔を見たとたん、泣き出してしまい、お姉ちゃんに抱きついた。
「何があったか話してみ?」
お姉ちゃんはやさしく聞いてくれた。
あたしは今日あったことを話した。
「柚、龍のことが好きになったんだ。愁のことは聞いてる?」
「うん。お姉ちゃんの元カレでしょ?」
愁とは龍のお兄さん。
桜姉の元カレ。
「私も愁と付き合ったときはよく目つけられたよ。3年のやつらに。」
「でも桜姉は強いから。」
「強くないよ。愁が好きだっただけだよ。」
「あたしは龍が好きだけど、逃げちゃった。負けたよ。」
「柚、誰にやられた?」
「篠山理穂とその他の龍ファン。」
「そっか。わかった。」
桜姉はそう一言だけ言って、
あたしの部屋を出ていった。
あたしは疲れてすぐに眠りについた。
携帯には龍からの連絡が入っていた。
でも今は連絡する気にはなれない。
はぁ。
体が痛い。