*あたしの好きな人*
そして、あたしはある人を見て、
言葉を失った。
「‥‥‥なんで?」
篠山理穂と昨日の先輩たちは、
顔が腫れ、手足は傷だらけで、
ボコボコになっていたんだ。
篠山理穂はあたしに気付き、
こっちに向かってきた。
「お前、桜さんにチクっただろ。」
桜姉に?
チクったつもりなんてないけど。
「桜姉にやられたんですか?」
「そうだよ。お前許さないから。」
篠山理穂はそう言って去っていった。
お姉ちゃん、昨日仕返ししに行ったんだ。
あたしはしばらくぼーっと
つったっていた。
「柚、並ぶよ。」
奈々に手をひかれ、
あたしたちは自分のクラスの
列に並んだ。