*あたしの好きな人*
そのまま二人には会わないよう、
あたしは逃げるようにして
家に帰った。
携帯には横山からの着信だけが
たくさん入っていた。
龍からの着信はなかった。
「はぁ〜‥‥」
明日から夏休みで助かった。
ってゆうか、横山って雄太って
名前だったんだ。
さっきまで知らなかったな。
一応、今はあたしの彼氏なのに。
付き合いたくないよ。
コンコン‥‥
「柚〜?」
「桜姉‥‥」
桜姉が部屋に入ってきた。
「大丈夫だった?あいつら、きつく言っといたから。もう心配ないと思うよ。だから龍に会っておいで?」
え?
桜姉。
今日さっそく、篠山理穂に
許さないって言われたよ?
でも言わない。
また篠山理穂を怒らせる。
「‥‥ありがとう、桜姉。」
あたしが笑顔でそう言うと、
桜姉は安心した顔をして出ていった。