派遣OL、時々蝶。
店から出て、8人で次へ向かう。
やっぱりまだ馴染めていないようで7人の後を追うようにして店まで歩く。
みんな仲良いなぁなんてポーッと考えて ひとり孤独を感じていたら歩くスピードの違いでだんだんと距離が遠くなっていた。
やばいと思って少し駆け足で追いかけようとした時に 見知らぬ男性から声をかけられた。
「すいません。お姉さん、お仕事の帰りですか? 今少ーしだけ時間ありませんか?」
もう、こんな時に・・・どうせいつものキャッチだろ。と心の中でウザがりながら足を止めずに断ろうとした。
「ごめんなさい、今急いでるんで」
「少ーしだけでいいんですけど・・・」
それでもなお斜め前を歩くようにしてついてくるホスト風の男。
あー もうウザいな!と口が動こうとしたその時。
「陽菜、おせーぞ。」
山岸さんが正面から駆けよってきた。
名前を呼ばれた事に対して驚きを隠せずに山岸さんの顔をぽかんと眺めてしまう。
「あ?・・・なんか用?」
背丈の高い山岸さんがホスト風の男を見下ろし いつもとは違うドスの効いた低めの声で威嚇するように睨み付けた。
ホスト風の男は圧倒されヤバイとでも言うような引きつった顔をしている。
隣にいる私はただ呆然と山岸さんの横顔を見上げていた。