真夏の白昼夢
ナツキは立ち上がってキッチンに向かい、冷蔵庫から買い置きのコーラを取り出す。
俺にも一本手渡すと、またクッションを抱えてコーラのタブを起こした。
「貴弘が5人目よ」
不意に呟くナツキ。
キョトンとしている俺に、ナツキはさらに続ける。
「恋人になる契約をして、一緒に暮らした男の数」
そう言ったナツキの目は、なんだか憂鬱そうに見えた。
「期間はまちまちだったけど、期限がきたら何も残さずに消えたわ」
「何も?」
ナツキはフッと薄く笑い、答える。
「そう、何も。相手にも、私にもね」