真夏の白昼夢
俺はコーラを一口飲んだ。炭酸が喉を刺激して、言葉を促す。
「少なくとも俺にはナツキが残るよ」
ナツキは眉を寄せてこちらを見る。
「ナツキが居た記憶と、ナツキに対する俺の気持ち」
困ったように笑いながら、ナツキは俯いた。
「失敗ね、そんな大きなものを残しちゃうなんて」
「失敗ついでに君自身も残ってみないか」
軽く言ってみたつもりだけど、ナツキは顔を曇らせる。
しつこいと思われただろうか。
否定も肯定もしないまま、ナツキはゴクゴクとコーラを飲んだ。