真夏の白昼夢
ナツキは俺の頬を撫でて涙を拭う。
「大丈夫よ」
荒げた息の合間にそう囁いた。
俺の中ではナツキを深く感じた喜びと、失う不安が渦巻いていた。
その渦を愛しさが飲み込んだ時、俺はナツキの中で果てた。
ナツキに覆いかぶさったまま息を整える俺の頭を、ナツキは優しく抱きしめる。
「……愛してる」
また溢れそうになる涙を堪えながら、ナツキの腕の中でそう囁いた。
ナツキは俺の髪を撫でながら呟く。
「うん。ちゃんと伝わった」
トクントクンと打つナツキの鼓動の向こうで、静かに響いていた。