真夏の白昼夢
「嘘だろ……」
しつこいくらいに引き止め、想いの全てを伝えたつもりだった。
夕べ全てを話してくれたナツキは、心を開いてくれたのだと思ったのに。
やはり俺では、ナツキの心は動かせなかったのか。
呆然とし、気力が失せてその場に座り込む。
床に落とした視線の陰に、妖艶なナツキの瞳がちらついて見えた。
シンとした部屋。
まるで最初から何もなかったみたいに。
ぼんやりと、ナツキが居たことは夢だったのではないかと思った。
俺が自分に都合良く作り出した夢。
だって、明らかに異常な関係だったじゃないか。