真夏の白昼夢

「契約って?」


女は楽しそうにニッコリと笑むと、俺に向かってこう言った。


「一週間、あたしがあなたの恋人になるの」


思いがけない提案に俺は理解が追いつかない。


「どういうこと?」

「あたしが恋人になる代わりに、あたしをここに住まわせてよ」


強気な瞳がキラキラと期待に満ちている。

突然、何を言い出すんだこの子は。


「いや、意味が分からないな」

「今手を出そうとしたこともチャラにするよ?」


なんでそんなにも上から目線なんだろうか。

だけど俺は何も言えなかった。
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