真夏の白昼夢

だけど悲しみに打ちひしがれてばかりは居られない。

昨日会社を休んでしまったから、今日は行かなくては。

俺はナツキが用意してくれていた朝食を噛み締めるように味わった。

俺好みの味付け。

寝室に戻り、スーツに腕を通す。

玄関を出る時にも、俺は物足りなさを感じた。

そうだ。
いつもはナツキとキスをしてから出かけていたから。


「……行ってきます」


誰も居ない部屋にそう呟き、俺は会社へと向かった。
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