真夏の白昼夢

「なんだ、元気ないじゃないか」


真島が俺の顔を覗き込む。
俺は近すぎる真島の顔からのけぞった。


「何かあったなら力を貸すぞ」


ニカッと暑苦しい笑顔を向ける真島。


「そうだな、また合コンでも誘ってくれ」


自嘲気味に俺は言った。

正直、他の女なんかには興味がないけれど。

真島はポカンとして見せ、ずずいとにじり寄る。


「映画館のあの子はどうしたんだ」

「振られたんだよ」


目を合わせない俺。


「そうか、あんなイイ女だもんな。仕方ないな」


真島は一人で納得したようだった。
俺は何も言わなかった。
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