真夏の白昼夢

俺はソファーに座り、クッションを抱いた。

染み渡る、シトラスの香り。

その香りに浸りながら、コーラの缶を開けた。


ねぇ、ナツキ。

俺は君の記憶に溺れて狂ってしまいそうだ。

どうして何も言わずに行ってしまったんだ。


辛いけど諦めなくちゃいけない。

夢を見ていたんだ、俺は。

不意に、ナツキのために買ったネックレスを思い出した。

あれも処分しなくちゃな。

寝室に行って、ケースを置いてある棚に目をやる。

ふと、ケースが開いていることに気がついた。
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