真夏の白昼夢

手に取ると、中にあったはずの青い石のネックレスがなくなっている。

代わりに、小さく折られた白い紙がちょこんと入れられていた。

なんだか、胸が騒ぐ。

恐る恐るその紙を取り出し、ゆっくりと開く。


あぁ、どうしよう。

込み上げてくる涙を、堪えることができない。


そこには品の良い字で、一言こう書かれていた。


『また、いつか』


自分にも相手にも、カケラは残さないと言ったナツキ。

俺は頭の中で、ネックレスを身につけたナツキを想像する。


「……綺麗だよ」


そっと、呟いた。
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