真夏の白昼夢

マズイんじゃないのか?

そんなに俺は酔っていたのか?ヤケになっていたのか?

しかも、確か俺達は契約を結んだんだ。

一週間だけ恋人でいるという契約。

そんなこと有り得るのか?

だけど彼女は確かにうちに居る。
髪をアップにして、細いうなじが覗く。

俺は遠慮がちにリビングに踏み入れ、努めて冷静に声をかける。


「……お早う」


すると彼女はくるりと振り返り、笑顔を返した。


「オハヨー、貴弘」


その様子があまりにも自然で、実はずっと前からいたんじゃないかなんて、馬鹿な思いさえ浮かんだ。
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