真夏の白昼夢
とりあえず俺は通帳などの貴重品はこっそり鞄に入れた。
出会って二日で恋人になるなんて、やっぱりどこか信じられない。
だからといってただ自然にそこに居るナツキは、妙にこの空間に馴染んでいて。
追い出す気にはなれなかった。
一度受け入れた契約なわけだし。
「じゃあ、行ってくるから」
「待って待って」
玄関のドアを開けようとした身体を戻す。
するとナツキは俺の頬に手を添えて、軽くキスをした。
「行ってらっしゃい」
「あ、あぁ。行ってきます」
ドギマギしながら、俺は家を出た。