真夏の白昼夢
玄関を開けると光がこぼれ、いつもの冷たい空気じゃなくて暖かい空気が流れ出した。
それがなんだか、俺を少し嬉しくさせた。
ナツキ、まだ居たんだ。
家に上がるとキッチンでナツキが何やら作業をしている。
「あ、お帰り、貴弘」
「あぁ、ただいま」
相変わらず当たり前みたいな顔をして、俺に声をかけるナツキ。
「まだ居たんだね」
思わずポロっと出た言葉に、ナツキは眉を寄せる。
「そりゃ居るわよ。何?お金盗んで逃げるとでも思った?」
俺は内心ギクリとしたけど、いや、と平静を装った。