真夏の白昼夢
そんな俺の様子を見たナツキはまた続ける。
「真実はいつの間にか、嘘に変わることがあるでしょう?」
妙なことを言う子だと思った。
なぜそんなにも否定的な目で見るのだろうか。
そんなに綺麗な瞳なのに、映る世界は輝いていないのだろうか。
まるで世界中のものを信じていないみたいだ。
俺は努めて優しい声でナツキに囁きかける。
「変わらないことだってあると思うよ」
そう言うとナツキは俺の胸の中でフルフルと首を振った。
「そんなものないわ」