真夏の白昼夢

「とにかく、今は良いよ」


不満げに顔をしかめて真島は自分のデスクに戻っていった。

次は隣のデスクの林を誘っているようだ。


仕事を終えての帰り道。
今夜も蒸し暑い。

コンビニに寄ってビールを手に取る。

ビールを数本とコーラも買って、俺はマンションへと急いだ。


「ただいま、ナツキ」


パタパタとスリッパの弾む音がして、ナツキが顔を出す。


「貴弘、おかえり」


ナツキの「おかえり」が耳をくすぐる。

俺は自然と頬が緩むのを感じた。
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