真夏の白昼夢

真島は目を見開いて驚いていた。

当然だろう。
彼女ができたなんて一言も言わなかったんだから。

浅野さんは品定めするみたいな目でナツキを下から上まで見る。

浅野さんだって美人だけれど、ナツキには敵わない。

俺はそれが誇らしかった。

偽りの恋人だけれど。



「ナツキ、この二人は同じ会社の奴なんだ」


ナツキはふうん、と小さく頷いてから、ニッコリと微笑んだ。


「ナツキです。いつも貴弘がお世話になってます」


その完璧な微笑みは美しすぎて、真島や浅野さんまでも動揺させた。
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