真夏の白昼夢

「ただいま」


玄関で部屋の奥に向けてそう言うと、いつものように聞こえるスリッパの鳴き声。

愛しくて、思わず頬がほころぶ。


「貴弘、おかえり」


ナツキの笑顔に迎えられ、俺はリビングに進む。

鞄の中に忍ばせたネックレスが気になって仕方ない俺。


「今日はオムライスにしたの」


嬉しそうにそう言って微笑むナツキ。

渡すのは、食事が済んでからにしよう。

ナツキはオムライスにケチャップでハートを描いた。


「ベタだね」


そう言って二人で笑った。
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