真夏の白昼夢
だけどナツキが見せた反応はそうじゃなかった。
複雑な顔をしている。
その表情は困惑と表現するのが適切に思えた。
「……気に入らなかった?」
心配になって俺はナツキに声をかける。
ナツキは小さく首を横に振った。
「凄く、綺麗だわ。素敵」
けれどそう言うナツキの顔は晴れない。
「だけどごめんなさい。貰えない」
そしてナツキは俺にケースを突き返した。
「貰ってよ。君のために選んだんだ」
それでもナツキは首を振る。